京都は私にとってずっと憧れのまちでした。きっかけは舞妓さんを題材にした映画で、観終えた後もその美しい町並みが目に焼き付いて離れず、「いつか住みたい!」と子ども心に思ったものです。その想いは決して一過性のものではなかったようで、短大進学を期に地元九州から京都へと出ることになります。
その学校ではファッションとメイクを専攻していましたが、授業の一環としてお茶やお花の文化にも触れる中で、ますます京都文化の奥深さを知り、憧れは増すばかり。当然、卒業後も京都に残ることを決意し、新卒でレンタル着物のお店に就職しました。そこで着付けやヘアメイク・メイクアップの技術を磨いた後、より京都らしい場所で働いてみたいと考え、『よーじや』の門を叩きました。
「あぶらとり紙」をお土産でいただいて以来、私は『よーじや』製品を愛用してきました。特に「粧具 口紅」や「粧具 フェイスカラー」は、パッケージを含め「京都らしさ」の象徴だと思っています。漆塗りのようなケースをひねって開けるのは、心を沈めて紅筆で紅をさす所作までがデザインされているからでしょう。この感覚はまさに「はんなり」。『よーじや』もまた、私にとって憧れの場所だったのかもしれません。